スマホ版サイトを見る

探偵のお仕事ブログ

彼女を取り戻したい・復縁する|別れさせ屋工作⑤

大杉さんは久しぶりに彼女(木村氏)に会うことができた。

木村氏は大杉さんが心配だから仕方なく会うというスタンスだったが

実は加藤氏と会う頻度がグッと少なくなっていたからというのが正直な

理由だと言える。

そして久しぶりに会った大杉さんを見て、木村氏はビックリしていた。

別れ話をした頃の大杉さんはオロオロと縋り付くような態度だったのに

今は堂々としていて、出会った頃のような大杉さんに戻っていたからである。

木村氏は不安に思い「もう新しい人で来たの?」と思わず聞いてしまった。

大杉さんが「いや、誰もいないよ。」と答えると木村氏はホッとしたような

表情を浮かべた。

実際のところ、木村氏と会う前日、興奮した大杉さんは担当員と面談を行い、

どういう自分を見せていけばいいかと深夜まで相談していたのである。

表面上は堂々と見えるが内心はガチガチに緊張していたのである。

それでも久しぶりに木村氏と会い、ご飯を食べたり映画を見たりして

リフレッシュすることができた。

別れ際に木村氏は「また会いたいな。連絡するね。」と言ってくれたそうなので

大杉さんの振る舞いは及第点だったと言える。

さて、加藤氏と工作員ユカリさんは毎週末会うような関係になっていた。

通常なら関係を完全に切ってもらうために、加藤氏とユカリさんが一緒にいる場面を

木村氏に見てもらうという方法が適していると言える。

しかし、加藤氏は木村氏と会わなくなって1ヶ月が経っているため

二人の関係を木村氏に見せるより、加藤氏から木村氏に別れ話を切り出してもらう方が

いいだろうという判断を大杉さんとの打ち合わせの中で決めたのである。

加藤氏とユカリさんは毎週末自然派食品を使用している飲食店巡りをしていた。

そんなある時、加藤氏が家に来ない?と誘ってきたのである。

ユカリさんが黙っていると。

「・・変な意味じゃなくて、家でユカリさんが作った料理を食べてみたいんだ。」と

弁解する加藤氏。

ユカリさんはしばらく黙っていたが「お家に行って料理するのはいいけど、彼女さんが

いるんでしょ?そんな中途半端な状態で家に行くなんて嫌だな。」と話す。

「そうだよね、何か俺っていい加減だよね。彼女がいるって言ったけど、実はもう一ヶ月ぐらい

会ってないんだよね。このまま自然消滅でもいいかなって思ってたけど、

やっぱりはっきりさせた方がいいね。じゃあ次に会ったときに彼女に電話するから。」と話してくる。

ユカリさんは「わかった。それから料理を作りに行くね。」と答える。

そして1週間後、木村氏は大杉さんとショッピングモールに来ていた。

相変わらず加藤氏と会えないでいた木村氏が、大杉さんを誘ったのである。

午前中にショッピングモールに着き、施設内をブラブラと歩く大杉さんと木村氏。

すっかり交際していた頃の二人の雰囲気を取り戻していた。

そしてフードコートに入り、向かい合って食事をしていた時に

木村氏の電話が鳴ったのである。

電話を見た木村氏は「うわっ彼だ。ちょっとゴメンね。」と言って席を外し

大杉さんから少し離れたところで電話を受ける。

「はい、もしもし?」

「あっ・・久しぶり、ゴメンね。忙しかった?」

「うん・・大丈夫だけど・・。」

「突然電話してこんなこと言うなんて非常識かもしれないけど、好きな人ができたんだ。

このまま自然消滅でもいいかなと思ったけど、けじめをつけたくて電話したんだ。」

「・・何それ?こっちから連絡してもあまり返信してくれないし、会おうって誘っても

仕事が忙しいからって断ってばかりいたのに、いきなりそんな電話?」

後半は涙声の木村氏。

「・・ごめん。返す言葉もないよ。」

「もういいよ、私もあなたとの関係は終わったかなって思ってたから・・じゃあね。

もう私の連絡先を削除して連絡してこないで。さよなら。」と言って電話を切る木村氏。

大杉さんが一人で座っているテーブルに戻ってくる。

大杉さんは事情を知っているので、何も聞かない。

木村氏はテーブルに置いてあるラーメンを啜りながら、

「・・フラれちゃった。」と呟く。

大杉さんは「そっか・・。」とだけ答える。

食事を終えた二人は、再びショッピングモール内を歩き回る。

そして大型家具店に入ったところで、大杉さんが

「新しい部屋に引っ越そうと思うんだけど、家具も変えようかなって思ってるから

一緒に探して。」と話す。

木村氏は黙って頷く。

家具店を一回りして、ベッド売り場コーナーに入る二人。

「どういうベッドがいいかな・・?」と独り言を言う大杉さん。

木村氏は黙って大杉さんの後をついて来る。

「ちえこはどういうベッドがいい?君も使うんだからちゃんと考えてね。」と

内心ドキドキしながらも冷静を装って話す大杉さん。

木村氏は「えっ?」と聞き返すが

大杉さんは無視する。

もう一度木村氏は「えっ?戻ってもいいの?また一緒に住んでもいいの?」と

泣き顔で聞いてくる。

大杉さんは「もちろんいいよ。俺はずっと君を待っていたんだからいつでも

帰っておいでよ。」と話す。

そこで木村氏は周囲の目を気にせずに声を上げて泣き出してしまう。

困る大杉さんは木村氏を店外に連れ出して、落ち着かせる。

「ゴメンネ、本当にゴメンネ。」と何度も謝る木村氏。

その翌日、木村氏は大杉さんの家に戻ってきた。

近々新しい広い家に引っ越す予定である。

・・・・・それから半年後、大杉さんから、「彼女と結婚しました」という

連絡が入った。

担当員は「お二人の幸せを心から願っています。」と返信した。

彼女を取り戻したい|別れさせ屋工作・・終わり。

↑PAGETOP